内容証明の効果と欠点

さて、2月20日に送った最初の「督促状」、何のリアクションもない場合は法的手続きを行う旨を明記した「勧告状」、そして法的手続きに移行する最後通達とも言える「内容証明」を、4月20日までという期限を切って送りました。

実はこの2通を出した時点で、大きなミスを犯していることに気が付いていませんでした。
2通とも郵便で送りましたが、郵便が戻ってこないということは、住所の間違いはないし、引っ越したわけでもない。ということは「この書面が届いている」と思っていたんです。

内容証明とは

最後通達となる3度目の通知書は、訴訟の準備に入るため「内容証明郵便(以下、内容証明)」
で出す事にしました。
内容証明とは、どういった内容の郵便をいつ誰に向けて出したかという事を郵便局が本人に代わって証明してくれる手紙です。

内容証明は、本人が、内容証明を取扱う郵便局(※1)に出向いて申し込む従来の方法と、イン
ターネットから申し込む「電子内容証明」の2種類があります。ここでは、電子内容証明の内容を中心に話を進めます。

電子内容証明を申し込むと、1通は差し出す相手に郵送され、1通は出した本人への確認用に郵送、そして原本記録は、新東京郵便局のサーバーに保存されます。どの用紙にも、新東京郵便局の証明用の判が押され、
「この郵便物は平成○○年○○月○○日第987654321 号書類内容証明郵便物として差し出した事を証明します。新東京郵便局長」と明記されます

これによって、「こういった内容の書面」を「いつ」「誰に向けて出しました」という事が、郵便局によって証明されるわけです。

大きなミス

先ほど、督促状と勧告状の2つの通知書を送ったとき、「大きなミスを犯していた」と書きました。
実は内容証明を出して初めて分かった事があったんです。それは、「配達証明」です。「内容証明」では、「いつ」「どんな内容の通知を」「誰に向けて出したか」は証明できますが、「いつ相手に配達されたか」までは分かりません。
先の2通の郵便物が実際に配達されていたとしても、相手から「そんなもの受け取っていないし、見たこともない」と言われてしまえばそれまでで、「ここにその控えがある」と言っても、「新たに作ったんだろう」と言われれば、それを証明することができないわけです。
配達証明は、いつ相手に配達されたかを証明してくれるものです。

先の2通も「配達証明」を付けていれば、証拠として使用できますが、配達された証明がなければ、証拠としての価値がほとんどありません。通知書を作ってポストに投函し、それを相手が見てくれさえすれば製品を返してくれるだろうという甘さが、この様な結果に結びついたのだと思うと残念でなりません。

内容証明に限らず、通知書や督促状には必ず「配達証明」を付けてください。
郵便局の窓口で「配達証明付きでお願いします」というだけです。わずか300円です。300円を出し惜しみしたばかりに、その通知書が証拠物と見なされないことになるかも知れません。十分注意が必要です。

(※1)内容証明は全ての郵便局で受け付けているわけではありません。郵便局は荷物の集配を
する郵便局と、集配をしない無集配郵便局とに分かれています。内容証明は、集配郵便局か、支
社が指定した無集配郵便局で取り扱います。

どの郵便局がそれに当たるのか、探し方

郵便局のホームページhttp://www.post.japanpost.jp/index.html の「郵便窓口のご案内」から、自分の住所の郵便番号を入れると、その地域にある郵便局の一覧が出てきます。

上記ホームページで一覧が表示されたら、左から「郵便局名」「住所」「局種」の順番で書かれています。
その局種に「集配局」と書いてある局が内容証明受付郵便局です。ただし、無集配郵便局でも取扱えるところがありますので、念のため一度電話してみてください。

内容証明の落とし穴

訴訟への足がかりとして内容証明を送付しました。確実に配達したことを証明する配達証明も郵
送されて来ました。
内容証明には「下記期限内に返却がない場合は裁判所に損害賠償の訴状の提出を行います」
と、内容証明を出してから約1ヶ月の猶予をもった返却期限(4月20日)を設けました。

本人訴訟や内容証明の専門書を読んでいると、「内容証明には法的強制力はないが、心理的な効果や心理的強制力を伴う」などと書いてあります。また、「内容証明を出すだけで、問題が解決
するケースも多い」と書いている本まであります。

実際本件では、返却期限の4月20日を過ぎても、何の音沙汰もなく、何も起きませんでした。
専門書やそれに関係する本にあるように、「内容証明の心理的効果」は恐らくあるでしょうし、「内容証明だけで解決」といったこともあるかも知れません。
事実、私も以前、今回と同じく、デモ機を返さず、連絡しても「返す」と言ったり「無くした」と言ったり「探してみる」と言ってみたり、1ヶ月以上もそんなやり取りを繰り返していた個人事業主のお客様に、「内容証明を出して法的手続きに入りますよ」と通知したところ、すぐにデモ機を返却してきたという経験があります。

しかし、これは希な例なのではないかと思います。また、対会社であったことも幸いしています。
健全な企業なら、内容証明を送られたことがわかれば、会社の信用に関わりますし、裁判を起こされたら、そこに手間と労力とお金がかかってしまいます。企業はそんなことに時間を割いてはいられません。企業だからこそたまたまそうなっただけで、個人相手に「内容証明だけで解決」などは、ラッキーと思わなければなりません。

繰り返しになりますが、内容証明は、どういった内容の郵便を、いつ誰に出したかを証明してくれる手紙です。「内容証明を出したから大丈夫」などと過大評価してはいけません。内容証明は「訴訟に向けての証拠の1つ」くらいに思っておいてください。
本件は相手が個人であること、期限が来ても何のリアクションもないことから、どういった形の訴訟が適当なのか、大急ぎで訴訟の選択に入りました。

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