東京簡易裁判所で少額訴訟を起こすまでの流れ

訴訟の方法も決めた、費用もだいたい分かった、訴訟は自社の所在地の裁判所(今回は東京)に提起する事も確認した。あとは、訴訟を起こす手続きを行うだけです。
とにかく行動しないと何も起きないので、裁判所へ行く事にしました。ここで早く行動しないと、またもや「休みたい脳」の餌食になります。時間が経過すると、やりたくない理由(やる意味など)を考え始めてしまいます。

内容証明の返却期限4月20日から約25日後の5月15日。裁判所に向かいました。裁判所の前にはガードマンが立っていて、簡易裁判所の場所を聞くと、「民事ですか?それとも刑事ですか?」と聞かれます。刑事事件ではないので「民事です」と答えると、民事部の入っている簡易裁判所の場所を教えてくれます。

東京簡易裁判所は「民事部」と「刑事部」が違う建物(庁舎)に分かれて入っているので、裁判所に入る前に、ガードマンに確認してください。敷地内が広いので、そのまま勢いで入ると、迷ったり、時間もロスするので、目的地に着くまで精神的にも疲れてしまいます。ちなみに、民事部の入っている庁舎には家庭裁判所が、刑事部の入っている庁舎は、東京高裁・地裁合同庁舎です。

簡易裁判所内に入ると、1階に受付相談センターがあります(東京簡易裁判所の場合)。先の電
話で、「おいでになるなら、午前9時~10時半までが一番空いている時間帯です」と聞いていたので、10時頃に相談センターに入りました。

相談センターは、車が5~6台向かい合って止まれる程度のこぢんまりした空間です。入り口も透明なドアー1つの狭い入り口になっています。
入ると目の前に、整理番号を配る機械があり、その下には、「今日は何のために来たのか」を予め記入する用紙が置かれています。用紙には事前に要件が書かれていて、書かれた事項以外の場合は、その他に記入します。また、事情も簡単に書き添えます。

相談センター内部は、相談員の書記官と向かい合うようになっているカウンターがあり、横一列に6~7人座れる大きさです。向かいの壁沿いには、相談に来た方が書類を書くカウンターが用意してあります。中央には病院の待合室のように椅子が置いてあり、テレビが1 台、裁判の様子を説明したビデオが流れています(本物の裁判ではありません)。まずは整理番号を引いて、用意された用紙に記入して待つことにします。

相談員との対話

自分の番号が呼び出され、指定のカウンターに座りました。対応してくれた書記官は、予め記入した用紙を見ながら、訴訟に至った経緯を確認していきます。
こちらも念のためですが、「訴える側の住所地のこの簡易裁判所で訴訟を起こせるのか?」と「少額訴訟で進められるのか?」という質問を投げてみました。

管轄簡易裁判所はこの事務所所在地の東京簡易裁判所で間違いはないと回答をもらい、少額訴訟に関しては「少額訴訟で訴えるという事であれば、この方法で手続きをとります」と、すんなり受け入れてもらえました。
ここで恐らく「どんな方法の訴訟が適当か」と聞いていたら、また「アドバイスはできない」と同じ回答が返ってきていた事でしょう。それにしても「少額訴訟で進められるのか」という質問に対する回答にはなっていませんでしたが・・・。

その後、「証拠となる資料はお持ちですか」と確認されたので、何か聞かれたときのためにと用意して持ってきた証拠を出しました。用意したものは、
● 配達証明を付けないで出した、督促状と勧告状
● ホームページ上のデモ機貸出フォームからの貸出依頼コピー(住所、email あり)
● 製品を送った時の、運送会社の受領書コピー(受け取りのサインが入っている)
● 内容証明郵便と配達証明(本人受取サイン入り)

配達証明を付けないで出した督促状と勧告状は、証拠にならないと思っていましたが、一応証拠として訴状に付ける事になりました。
足りないものは、訴訟金額がどこから導き出されたかを証明するもの(根拠)が必要との事で、これは、Web上で販売している金額なので、そのページのコピーを証拠として提出する事で了解を得ました。

念のためですが、相談センターに行くときは、手元にある証拠になるものをコピーでかまわないので持参してください。それが証拠となるか、足りないものはないかなどを確認できます。

次に、事情説明書が渡されます。これは訴えられる側との事前交渉や現在の主張、訴える側の和解の意志や証拠書類などを簡潔に整理するための用紙です。

事情説明書について


事情説明書はA4で2ページから構成されています。それぞれの項目の□にチェックを付けていくわけですが、このときは質問形式で書記官がチェックしていきます。1ページ目の質問の要点は、棒線で引いてありますが、見えにくいかも知れませんので説明します。

1.被告と事前に交渉したか。
2.原告の誰と、被告の誰が交渉したか。
3.被告の対応は、話し合いに応じたか否か。
4.被告の言い分は。
5.証拠を別紙証拠一覧(もらえます※)に記入。
6.証人がいるか(1)その指名と続柄。の6項目です。

事情説明書の中のチェックは書記官がやってくれますが、名前やその他の書き込むところは自分でやります。

事情説明書2ページ目の質問内容は以下の通りです。項目6の続きからです。
6.証人はいるか
(2)証人を出廷させる事ができるか。
(3)出廷できない場合陳述書を作成し、
提出する事はできるか。電話会議システムの紹介。
7.被告への書類送達(郵送や配送などという言葉は使いません「送達」です)について。(1)被告が受け取る可能性の高い曜日。(2)自宅以外の受け取り場所。
8.話し合いの解決の希望があるか否か。
9.その他、参考資料(証拠類)

※証拠書類一覧表(ここに掲載されている訴訟の種類は以下の通り)
証拠書類一覧表

「貸金請求」「売買代金請求」「請負代金請求」「敷金返還請求 賃料値上げ請求」
「賃金・解雇予告手当請求」「交通事故による損害賠償」「入会預託金返還請求」
「マンション管理費請求」「「損害賠償-原状回復(建物)」「その他」
一覧表にない訴訟の証拠は、○で囲んだ「その他」に記入します。

申立書の作成

書記官と質疑応答をしながら、事情説明書を作成しました。次はいよいよ申立書の作成に入ります。申立書は4枚から構成されています。1枚目「訴状」、2枚目「当事者の表示」、3枚目「請求の趣旨」、4枚目「紛争の要点」の4枚です。

訴状の最初の項目は、それぞれ訴える内容が「事件名」として記入してあり、チェックするようになっています。私の場合、損害賠償請求なので真ん中の「□損害賠償」にチェックをし、あとに続く(物損)と書かれた記述は書記官がホワイトで消してくれました。

2枚目の「当事者の表示」に移る前に、3枚目「請求の趣旨」を提示されます。
おそらく、2枚目の「当事者の表示」と4枚目の「紛争の要点」に関しては、説明はほとんどいらないと考えていたのではないかと思います(事実そうでした)。
請求の趣旨はきわめて端的です。「あなたは被告に対して、何を求めるんですか」と聞かれ、「デモ機を返して貰えればそれでいいんですが、返してくれないので、1式の販売金額○○円を請求したいんです」と答えたところ、書記官が下のように記入してくれました。

被告は原告に対し、「金○○○○○円を支払え」。これで請求の趣旨は終了です。

次に2枚目の「当事者の表示」4枚目の「紛争の要点」を渡され、簡単な説明のあと、相談センター内の相談者の筆記用カウンターに戻って2枚目、4枚目の作成に入ります。
実はこのとき、ちょうど昼の12時になり、書記官たちは何も言わずに退席して、姿を消してしまいました。
「当事者の表示」は、訴える側の私と、訴えられる側の相手の住所、名前、連絡先のみの記入です。相手の勤務先が分かればそれも記入します。

4枚目「紛争の要点」です。要点は、この訴訟に至った経緯を具体的に分かりやすく、しかも端的に書くのがポイントです。
要点を絞って箇条書きに書くと分かりやすいと言われました。

割り印と捨て印で混乱する

午後1時ごろ、書記官が昼を終えてぞろぞろと戻ってきました。私は待合室のような椅子に腰を掛け彼らを待っていました。
念のため書いた申立書を確認してもらおうと、最初に対応してくれた書記官を探しましたが、既に別の相談者と対話を始めています。少し待っていましたが、どうやら長引きそうです。仕方がないのでもう一度整理番号を引いて待つ事に。

さて、番号が呼ばれました。今度は先ほどとは違う書記官です。書いた申立書を確認してもらい、問題がない事が分かりました。するとまた新たに少額訴訟の流れの資料を持ち出して説明し始めます。「それは、先ほど相談した方から説明を受けました」と言うと、「あ、そう」とあっさりと言い、訴訟の費用の説明です。

10万円未満の訴訟額なので裁判所の手数料は1,000円の収入印紙、書類送達用の3,910円の切手代のみです。それを記入した用紙を渡され、申立書への押印の説明を聞きます。

ここでやられました。1枚目の「訴状」と、2枚目の「当事者の表示」に関しては、「こことここに印を押して」と鉛筆で○を付け(添付した資料に、押印するところを○で囲んであるのは、分かりやすいように私が付け加えたものです)、3枚目の「請求の趣旨」と4枚目の「紛争の要点」を少し重ねた状態で、「ここに“割り印”を押して下さい」と言われました。

申込書には割り印を押した

上図のように○を付けたら、間違いなく割り印ですが、申立書に押すのは、“捨て印”です。割り印ではありません。
これはあとから分かった事なのですが、その時こちらは素人です(今でもそうですが)。プロに指示されたらその通りにするのが当たり前です。さすがに専門書にも押印の仕方までは出ていませんでした。とにかくそう言われたので、この2枚には割り印を押して後で提出する事になったのですが、見事に「任意の補正」の対象になりました。

念のため割り印と捨印の意味を説明します。
割り印・・独立した二つ以上の文書が一つであること、又は、関連のあるものであることを証明するために、双方の文書に、一つの印を双方の文書にまたがって押す印。
捨て印・・文書の完成後、後で字句などの訂正をしなければならない事情が発生したときのことを考えて、予め、文書の余白部分に、押印した印と同じ印を用いて押すもの。

よく考えれば分かりそうなものです。しかし、書記官を全面的に信用してしまっていたために、言われる事をそのまま鵜呑みにしてしまいました。本当にお恥ずかしい話です。
彼らも人間です。「おやっ」と思った事はその場ですぐに確認してください。

その後、「申立をするに当たって(下資料)」という用紙をもらい、申立書(4枚)と証拠書類を2部ずつコピーして、その他の必要書類を簡易裁判所の少額訴訟係に送るという事で、裁判所を後にしました(収入印紙と切手は、裁判所内のコンビニで買いました)。

必要書類を送付する

会社に戻り、訴訟に必要な書類を確認しました。そして、申立書(訴状、当事者の表示、請求の趣旨、紛争の要点の4枚)に、教えられたとおり押印をし、それぞれ2枚ずつコピーを取り、ホチキスでとめたものを作りました。申立書と証拠書類の写し(コピー)は2部ずつ(自分の控えの原本を加えると、同じものが3部)必要になります。
一部は裁判所の保管用、もう1通は訴えた相手への送付用です。

もらった書類にある、申立書2部、証拠書類のコピー2部、申立手数料と郵便切手、登記簿謄本、事情説明書を、その日の内に速達で郵送しました。

書類の不備には十分に注意しよう

翌日、簡易裁判所から電話があり、書類に不備があったので送り返す旨の電話がありました。送り返す際、こちらが買って送った「郵便切手を使うがよろしいですか」と念押しの電話でした。切手を使うのに問題があれば、おいで下さいとのこと。

「えっ」と一瞬言葉に詰まりました。切手は、訴える相手に書類等を送達するために買ったものだとばかり思っていましたから。しかも「問題があるならこちらに出向いてくれ」といいます。穏やかな話し方のその奥に、おそらく来ないだろうと予想して、切手を使って送る事を前提で話しているかのように聞こえました。
何とも釈然としない気持ちでしたが、今から行く時間もないので、切手を使って郵送してもらう事にしました。

気を付けてください。切手は相手方に郵送するためだけのものではありません。書類に不備があ
れば、何度でも、その切手を使ってやり取りをする必要があります。書類の不備には十分注意が必要です
(こんな事誰も教えてくれないし、専門書にはもちろん書いていませんでした)。
切手は無くなったら補充しなければなりませんのでこれも注意してください。

その2日後。裁判所から書類の入った茶封筒が届きました。残念ながら簡易書留で郵送してきた
ので「580円」もかかってしまいました(これはもう諦めていましたが)。

書類の不備を訂正する

開けてみると、申立書と証拠書類がクリアファイル(透明なファイル)に綺麗に1部ずつ整理されて入っています。そしてもう1枚、事務連絡として「訴状につき名前の次及び各ページに捨て印を押印し(2通とも)、損害額の根拠となる書面(コピー2部)を添えてご返信下さい。」と記入されていました。任意の補正です。

先に説明した割り印(割り印ではなく捨て印を押す)の部分と、損害額の根拠となる、Web上の販売価格を掲載したページのコピーを2部送れと言う事のようですが、「各ページに捨て印を押し(2通とも)」というところに引っかかりを覚えました。送られてきた書類は申立書1式(訴状、当事者の表示、請求の趣旨、紛争の要点)です。押印したものをコピーしてまとめて送っているのに、「各ページに捨て印?」。割り印を押したもの以外は間違っていないはずです。電話を掛けてみました。
なんと、申立書は、押印してコピーしたものではなく、押印する前にコピーした申立書(4枚それぞれに)に捨て印を押す必要がある事が分かりました。たしか、2番目に対応してくれた書記官は
「こことここに印を押して、それぞれを2部ずつコピーして送って下さい」と言っていました。「コピーしたものそれぞれに押印して2部作成し、送って・・」とは言っていませんでした。
(聞き間違いではありません)
とにかく、新たに捨て印をそれぞれに押したものを、2部ずつ作成する必要があります。ただ、手元にある控え(原本)には既に押印してあるため、ただ単にコピーすると、また押印したコピーが出来上がってしまいます。電話で確認しました。

押印のしてあるコピーでも、コピーした印の横に新たに押印して貰えれば問題ないとの事だったので、何とも見苦しいものにはなってしまいましたが、ひとまず申立書が完成しました(ただちに裁判所に送ったのは言うまでもありません)。

口頭弁論期日(期日請書)

その4日後、再度裁判所から電話が入りました。(また何かミスったか・・)と恐る恐る電話に出ると、申立書の受理と審査が終了し、口頭弁論期日の確認をしたいとの事でした。ホッと胸をなで下ろし、期日の確認です。

裁判所が指定してきた日は6月21日(木曜日)午前10時です。私のスケジュール的には問題がなかったので、期日はそれでOKと回答。「追って裁判所から期日請書なる確認のFAXが届きますので、署名捺印の上返信してください」と用件はそこまで。

しばらくすると、「口頭弁論期日呼出状兼期日請書」と送り仮名を1つも使わない、なんとも長く堅苦しい用紙がFAXされてきました。
書き出しには「事件番号」が記入され、口頭弁論日が殴り書きのように記述してあり、弁論日当日の法廷の番号が記載されていました。

これでいよいよ、訴訟の開始です。
今まで、「訴える側」と「訴えられる側(相手)」と言う表現を使って、あえて「原告、被告」という表記は使いませんでした(法的文章を掲載しているところだけ「原告」と「被告」という表記を使いました)。

それは、まだ訴訟が始まる前であり、申立書が受理されていなかったからです。まだ自分1人が裁判所に働きかけている状態で、訴訟にすらなっていない段階では、「原告」にも「被告」にもなり得ていないという理由からです。

これからは堂々と「原告」「被告」と書き分けられます。

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